『ジョーの寂寥感』
このCDのブックレットの中に、作曲家・八木正生氏のコメントが引用されています。それによると、氏が「ハングリーさの中に、寂寥感をもったジョー」をイメージして作曲していたことがわかります。
ああ、そうだったのかと思いました。子どものころリアルタイムで見ていたジョーの映像を思い出すたびに、私はなぜかしんみりとさせられるからです。スポーツもの、それもとりわけ激しいボクシングものでありながら、なぜか私の心に鳴り響くのは勇ましい音楽ではありませんでした。どちらかと言うと、物悲しくて、ひとりぼっちの淋しさ、あるいはセンチメントを感じさせるようなものばかりで、それが私の中のジョーなのでした。奇しくも監督・出崎統氏は、ジョーというのはボクサーである前に、まず永遠の旅人だったというようなことを述べています。作り手たちの若いロマンティシズムの結晶が懐かしいアニメ版の『あしたのジョー』だったわけです。
このCDが今の若い世代の人たちにも受け入れられるかどうかわかりません。しかし、ある一時期この物語に熱中した覚えのある人ならば、改めて聞き返して、忘れていたものを思い出してみるのも悪くないでしょう。
ただ、惜しむらくは収録されているのが力石編までということ。あの陽気なカーロスのテーマも好きだったんだけどなあ……。
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